2013/06/27

緑化壁の設置は著作権違反か(2/3)



前回に引き続き,庭園内にあたらに緑化壁を設置することが,庭園の著作権違反にあたると主張して仮処分を申請するうごきについて,検討してみます。

今回は,庭園が著作物にあたるとして,誰が著作(権)者なのかを見てみましょう。
なお,上の写真と今回問題の庭園は無関係です。

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 著作者とは,「著作物を創作する者」とされています(著作権法2条1項2号)。

「創作する」とは,事実行為として創作行為を行った者とされています。

 例えば,ゴーストライターは,依頼者との間では「書いたのは有名人本人」という合意がありますが,事実として文章を考えて表現したのはライターですので,ゴーストライターが著作者になります。

一方, 創作行為とは,外部に現された表現の中にその人の個性が現れる表現行為と考えられています。
 
ですので,仮に庭園の設計者の考え通りに 造園されたのだとしたら,実際に木を植えたのは設計者だけではないかもしれませんが,著作者は庭園設計者と考えてよいのではないでしょうか。

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3回目の次回は,緑化壁の設置が,著作者のどのような権利を侵害する可能性があるのか,を検討してみます。