庭園内にあたらに緑化壁を設置することが,庭園の著作権違反にあたると主張して仮処分を申請するうごきがあるようです。
少し複雑な問題なので,3回に分けて見ていきましょう。
なお,写真は今回話題になっている庭園ではありません。
**************
著作権が認められるためには,著作権法上の「著作物」にあたるかどうかが基準になります。
著作物とは,「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、芸術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)とされています。
この定義は,概ね,
(1)「思想又は感情」を
(2) 表現したもの
(3) 創作性
(4) 文芸、学術、美術、音楽の範囲
の4つの要件に分けて考えられます。
なお,この定義とは別に,各種の著作物の例示(10条1項各号)がありますが,必ずしも例示に当てはまらなくても,この4つの要件を満たすものは著作物として保護されると考えられています。
**************
では,今回の庭園は,著作物にあたるでしょうか。
これを検討するには,事実として,今回の庭園がどのようなものなのか,もっと情報が必要です。
一方,抽象的に「庭園」が「建築の著作物」にあたるか,と言う点はすでに議論されています。
「建築」とは柱や屋根のある構造物に限るとする考えもありますが,庭園も含めて広く捉える説もあります。
また,「建築の著作物」には,美術性あるいは芸術性を有することが必要という考えが有力です。
ですので, 少なくとも,一定の要件を満たした庭園は,著作物として認められる可能性はあります。
**************
次回は,庭園が著作物にあたるとして,その著作(権)者は誰か?について考えてみます。