神奈川県警の元警部補が,部下に当て逃げの身代わりを頼んだとして罰金刑とする判決がありました。
問われた罪は,当て逃げが 道交法違反(事故不申告),身代わり依頼が犯人隠避罪(刑法103条)の教唆犯です。
ところで,
犯人自身が逃げ回ったとしても,罪にはなりません。捕まりたくないと思うのは自然な(やむをえない)ことだからです。
犯人本人は犯人隠避罪には該当しません。そうすると,犯人隠避罪の教唆犯にもならないように思えます。
しかし,犯人が他人に逃げ回る手伝いをさせた場合,最高裁は教唆罪が成立すると判断しています。
理由は,他人を巻き込んでまで逃げ回ることは許されないから,としています。
これを踏襲して,今回の横浜地裁も教唆罪が成立しうることを前提に,身代わりの依頼があったと認定して有罪の判断をしているようです。
なお,本件は未確定であり,上級審で裁判所の判断が(身代わりを依頼していないという判断に)変わる可能性もあります。念のため。