2013/03/14

なぜ違憲判決が出ても選挙をやりなおさないのか


先の衆議院選挙について,違憲確認・選挙無効確認訴訟が各地で提訴されています。

この選挙の区割りが違憲であることは,すでに最高裁が違憲判断したものと同じですので,(その後の人口の異動はあるものの)違憲であることはおそらく問題ありません。

先日,各地の訴訟の先陣を切って東京高裁が違憲判断をしました。

 1票の格差判決 国会の怠慢が断罪された
※その後,各地の高裁で違憲判決が続いています。
仙台高裁判決

 しかし,選挙の無効は認められませんでした。

東京高裁では緊急是正策の存在を理由にしているようです。
本質的には,選挙の無効は「事情判決の法理」によって認められないという歴史がありました。

この法理は,選挙自体を無効にすると影響が大きすぎる,民主主義の結果を非民主主義的な裁判所が覆すことに慎重になるべき,違憲判断をすれば立法府が尊重して改正するはず,などを理由として,司法判断を自制するものと考えられています。

今回の訴訟は,最高裁の違憲判断があったにも関わらず,違憲状態の区割りで選挙をしたことがトピックです(過去にも同様のケースはありましたが,すぐに国会が解散しました)。
自制して無視された最高裁が無効判断に踏み込むのか,が焦点だと思います。

その後,いくつかの高等裁判所で,選挙無効の判決が出ました。