マンションの住民の8割の合意で,マンションを廃止(解体等)できる法改正の検討をしているという報道が日経新聞でされました。
東日本大震災でも,地盤自体に問題が生じたりして,補修工事や建て替えが不可能なマンションで,全員合意によるマンション廃止をした事例が数件知られています。
最終手段として,廃止は選択肢の一つではあります。
一方, マンションは集合住宅,すなわち多くの住民で形成されているコミュニティです。
本来であれば,マンションは改修工事や建て替えによって,住居としてよみがえらせるべきでしょう。
そのための法整備は今までも着実に進められています。
当たり前のことですが,古いマンションにお住まいの方は,まずは改修工事や建て替えを検討して頂ければと思います。
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なお,マンションを廃止すること自体は法改正によらずできますが,区分所有権が消滅することになるため,原則通り,所有権者全員が望むことが要件となります。
これに対して,「全員の合意と取るのが難しかろう」との理由で8割合意での廃止を認めようという検討がされている,というのが今回の報道です。
報道でも触れられていますが,不動産や建設業界への経済的波及効果を狙った面があるようです。
一方,資本主義国家である我が国では,「公共の福祉」による制限はともかく,所有権は極めて厳格に保護されてきました。
法務省は,被災したマンションはともかく,所有権者が反対しているのに所有権が滅失するような改正には難色を示していると言われてきたところです。
今回の報道が,日経以外ではあまり扱われていない点にも注意すべきでしょう。
今回の報道が,日経以外ではあまり扱われていない点にも注意すべきでしょう。