2013/07/23
単なるコピーはダメだけど,元ネタにしてもOKな「同人マーク」
ある団体が,いわゆるデッドコピーは許さないが,同人誌などでの二次創作は認める「同人マーク」を提唱し,そのデザインを募集中とのことです。
「ラブひな」などで知られる漫画家・赤松健氏が,原案となるマークを考案していたそうです。
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原則として,同人誌などで元ネタであるアニメやマンガのキャラクター等を利用していわゆる「パロディ」としての表現をすることは,著作権法に違反します。
著作権者としては,当然,法的手段によってこれを阻止することもできます。
現に多くの権利行使がなされてきました。
一方で, 同人誌などでの利用を黙認する意向を持った著作権者も存在していました。
今回の同人マークは,
1 クリエイティブ・コモンズのようなデッドコピーを認める概念やマークは,日本の同人誌文化にそぐわないこと。
2 TPP参加によって著作権違反が非親告罪化(権利者の告訴なくして刑事処罰されるようになること)によって,著作権者が本当なら黙認したい同人誌までも検挙される危険性があること。
などを理由として生まれたとのことです。
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なお,著作権法を管轄する文化庁でも,「パロディ」についてワーキンググループを作って検討しています。
報告書では,パロディについて,一定の類型を明確に許容したり禁止したりする法改正は見送るべきとされました。
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著作権者の権利は尊重されるべきです。
一方で,著作権者が「この場面では権利を行使しない」という意思を持っていたなら,その意思も尊重する方法があってよいと思います。
デッドコピーによる権利者の収入減・意欲減退を防ぎつつ,二次創作を認めてファン層を拡大したり新たな才能を育てる可能性がある「同人マーク」は,著作権法が本来目的としている,著作権者の保護と著作物の利用による文化振興の共存を具現化するアイデアだと感じます。
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